介護を仕事にするということ

十数年介護を仕事にしてきて日々思う事

介護ってなんだ

前回は何も分かっていないまま介護をしていたころの事を書きましたが、今回は介護って何なのかが見えてきたきっかけについて書きたいと思います。

段取りよく立ち回れた私は、特養での立ち位置を順調に確保し、1年少しが経った時に、生活相談員になってほしいとの話が来ました。この特養では生活相談員は介護部門のトップ的な扱いでしたので、諸先輩方を差し置いて、こんなひよっこに、そのポジション任せて大丈夫かと思いながらも、私は昇進を喜んだ記憶があります。

時代も良かったんですよ。介護福祉士もってる人すら少なくて、社会福祉主事も併せてもってるのは私だけでしたから、上も選ばざるを得なかったんでしょう。

そこから私の介護への気づきが始まりました。

生活相談員になると色んな研修に行きます。持ってる方がいい資格や、とりあえず付き合いだからと行かされる研修など様々です。

人材の育て方や介助の方法、認知症についてなどなど多くの研修を受けました。当たり前ですが研修では理想の介護像を聞きます。

いくらいい話を聞いても教科書で習ったことばかりで、現場とは違うって思い込んでましたね。

そんな中一つの研修が私に転機をくれました。それは認知症介護実践研修の中での講義でした。講義の詳しい内容はあまり覚えてないですが、その中の

「介護は何を護るのか」

「介護は利用者の生活を護ることだ」

はっきりと台詞は覚えてないですが、私はそう解釈しました。

今では当たり前の事です。我々、介護を行うものは利用者の生活を護ることが仕事である。なんていうのは常識です。私の施設だけだったかもしれませんが当時は違いました。私には衝撃とまではいわなくても、介護の考え方の非常に重要なヒントを得たと思いました。

介護は流れ作業ではなく、効率追求でもなく、その利用者一人ひとりの生活を護ることなんだ。

今思い返せば、何を言ってるんだと恥ずかしくなりますが、その研修を機に大きく考え方が変わっていったことは確かです。

今まで聞き流していたような研修も、聞こえ方が変わってきました。

それ以来、指導の際には「介護は生活を護ることだ」って言い続けています。

介護を始めた頃の話

私が現場に出た時には、介護保険が始まってまだ2年しかたってない頃で、措置時代の名残を残した光景をたくさん見てきました。

介護の専門学校を卒業していますので、実習等で教科書と現場の違いは理解しており、現場に出た時も「こんなもんかな」と深く考えることもなく、流れに乗った介護をしてきました。

 

今思い返せば「介護」ではなく「作業」だったと思います。

 

その作業を毎日何も考えずに繰り返すのです。特に苦しいことはありませんでした。

仕事ですから。

それどころか、初めの職場には同じ年代の職員が数多く在籍しており、毎日楽しく仕事が出来ていました。

 

そこに利用者はいませんでした。

 

いや、実際にはいましたよ。老健で80名くらいの方が入所されていました。

でもあまり覚えてないんです。当時は、いかに仕事を早く効率的に済ませるのかが職員の優劣の判断基準でした。利用者は作業の対象にしか過ぎませんでした。

ちょっと大げさな表現ではありますが、世の中それが当たり前だった頃があったんです。

 

そんな中、私事で職場を変えることになり、実家近くのかなり田舎の特養へ転職します。

そこではさらに、措置時代かと思うような光景が広がっていました。食事、入浴、排泄の作業をただ繰り返すだけ、拘束も簡単に行われていました。食事、入浴、排泄の業務以外は無駄扱いされ、いかに段取りよく作業をこなせるかが物をいう世界でした。

もちろん実際にはレクリエーションや行事も行われており、楽しんでいる利用者もありましたが、職員は「やらなければいけないからやる」といった形でした。

私も仕事だから特に何も考えずにこなします。どうやら適応能力はあるようで、胃潰瘍になりながらも、順調に立ち位置を確保していきました。

 

そんなこんなで、教科書で習ったことなんか理想でしかなく、役に立つのは介護技術だけという状況でも、何も感じなかったのは、それが介護だと思っていたからだと思います。

 

「そんな時代だった」というか、私がまだ介護が分かってなかった頃の話です。

自己紹介とご挨拶

みなさまはじめまして

sakanaと申します。

20歳から仕事として介護を始めて早十数年が経ちました。

そんな私が日々思う事を、自分の頭の中の整理としてブログに書いていきたいと思います。もし、誰かの目に留まり、同じ考えの方に「うんうん、そうやな」と共感してもらえたり、「それは違うと思う」と反感を持っていただいたり、どんなことを感じてもらえても、介護について考えてもらえるなら幸いです。

あまり面白いことは書けませんし、思いついた時しか更新しませんが、よろしくお願いします。