認知症と嘘
認知症という病気があります。昔は「痴呆」または単に「ボケ」とか言っていました。
今では認知症という言葉はかなり一般的になりましたね。
余談ですが、私は認知症を略して「認知」っていう人が嫌いです。認知症があるという事を「認知がある」って略すと完全に反対の意味になります。
業界の人じゃない人が言うなら「この人分かってないな」くらいで済みますが、業界人で居宅のケアマネとかが平気で使っているのを聞くと、この人頭悪そうやなっていうイメージになります。
話は戻しまして、
認知症って難しいですよね。でもおもしろい。
認知症の難しいところは周辺症状って呼ばれている部分かと思います。その辺を詳しく書き出すと大変なので辞めときます。
でも、家に帰ろうとする人や、粗暴な言動がある人困りますよね。
周辺症状を緩和するために必要なことは環境を整えることっていうのは良くいわれることで、良く分かります。
でも現実としてその環境を作ることに無理があることも多いです。
すると、介護職はどうするのかというと、認知症の人に嘘を言って気をそらしたり、誘導をします。
その嘘についてどう考えるのかです。
「嘘を言う」っていうと人聞きの悪いように聞こえます。また、「認知症だからと言って人を騙してもいいのか」なんていう人もいますが、私はいいと思うんですよ。
もちろん何でもかんでもいいとは思っていません。
でも普通に暮らしてて、相手の事を思って嘘をつくってことは普通にあり得るでしょ。
バカ正直な人に聞きたくない事実を告げられた時に「嘘でも〇〇って言ってよ」って思ったことがある人も多いと思います。
認知症の人だって思いやりのある嘘をついてもらえる権利があるんですよ。
こう考えると、嘘をつくこと自体がどうのこうのいう事自体が意味のないことだと思います。
要するに、その人を思いやって嘘をつく必要があるから、嘘をつくんです。
そこで大事なのは、介護職として「なぜこの嘘をつくのか」を分かったうえで嘘をつくことだと思います。
介護職は対人援助の専門家です。専門家であるからには、全ての行動に根拠を持っておくべきです。最悪、後付けでもいいので「なぜそうするのか」を考えてほしいです。
いろいろ書きましたが、要するに認知症の人に嘘をついても良いけど、その方が落ち着けるように考えて、思いやりを持った嘘をついてねということです。